ナチュラル ヴォイス ヨガ

ナチュラル ヴォイス ヨガ とは_3

2014年1月号 (172-1401)の記事

 今回と同じタイトルでしばらく連載記事を書いたことがありました。

私にとってのライフワークになった “ナチュラル ヴォイス ヨガ” 、どうしてこのネーミングをしたのか、これが何を意味しているのか、そしてその目的とそこにいたる方法は・・・と、どこまでいってもいつまでも続く私のテーマです。

 この年始め(2014年)に日経ヘルスという雑誌の取材を受けることになりました。「ストレスに強くなるヨガ」というテーマでの特集で、そこにナチュラル ヴォイス ヨガの記事を予定しているそうです。

 誰にも取りつきやすい内容ではないらしく、読んで実践するのはとても難しいと言われるその欠点を克服して数頁の紙面で紹介ができるかどうか、その頭の整理をしておかないと取材に応えることができないだろうと思い、前回の体感空間に続いて私の頭の整理をしておこうと思います。

 二十年くらい前、歌の生徒の個人指導やヨガの指導者セミナーなどで声の出し方の指導をしていて、個人指導だけではなく、自習で声を変えていけるわかりやすい方法はないものかと考えていたときに体感空間と母音との関係からアイディアの湧いた“母音を使う発声体操”に思いを巡らせました。

 そこで生まれた“母音メソッド”をまず沖ヨガ道場の月刊誌で発表し、ヨガで大切にする「心と体」に「声の働き」を加え、ナチュラル ヴォイス ヨガとして会報やセミナーなどで表現してきました。そして2011年に、その時点で思うことをできる限り盛りだくさんに書いた“ナチュラル ヴォイス ヨガ”を出版しました。

 一般のヨガの本とは少々毛色が違い、あまりヨガらしくはありませんが、内容にはヨガ、特に沖ヨガの大切なところを多く盛り込みましたが、「この本は字が多すぎる、3~4冊に分けて出版した方がいいよ」と何人もの方に言われました。そして一番の問題となるところは、「本を読みながら書いてあることを実際に試してみる」ことが難しいということらしいのです。

 間違ったことを言っているわけではないし、足らないところもない。それなりに私の言いたいことを十分に網羅しているつもり。でも問題がある。それが何か、何度も読み返してみて分かりました。それは、内容が多すぎてどこから取りついたらよいのか分からないのではないか、ということです。

 声の持つ力は大きく、他に対しての影響力も大きいものですが、自分に対しての影響はもっと大です。しかし多くの人はそのことには気づいていません。心や体の使い方一つで健康や不健康を自ら選んで生きているというのが事実です。だからこそヨガに大きな力があるように言われるのですが、何を選ぶ場合も入口でつまずいては中に入って来れないということを私は見落としているのかなと思ったことでした。

 私の書いていることは声と心と体の全体像なので、全く入門の人にとっては、何を理解し、何をやればよいのか、まず入り口が必要なのだということです。

 これまで声の指導のほとんどが個人指導だったので、ある程度の時間をかければ、声の変化や呼吸の変化を体感するところまで確実に誘導できたのですが、自習の場合は変化の方向性そのもをイメージできるようにならなければ進みようがないのですから、少しずつでもやれば変化するというやりかた、間違いなくできるやり方を提示する必要があるということだったのです。

 現在、新大阪や豊田でやっているNVY(ナチュラル ヴォイス ヨガ)のセミナーでは、動きと声とがバラバラにならないよう、母音メソッドをどうすれば正しくやれるかとか、気持ちよくやれるかというところに力を注いでいます。変化が小さくてもそれを自習できる方法を求められているのだと思います。

 声は体や心と同じように癖に支配されており、その癖から脱却するには、今まで感じているのとは違う新たな空間意識を持つとか、正しい動きや発声に必要な集中点に意識を置く方法を覚えることが必要なのです。言葉を変えれば現在の自分の声を忘れるようなやりかたが必要だということです。忘れることができれば新しい声が出てきて、それに応じた心の変化も生じるということが大切です。

 まず体感空間(体内空間)を感じて呼吸をするということ、呼吸の原則を吸う吐くの簡単な呼吸法を通じて身につけること、それから母音メソッドに入ります。

 人によって違いがありますが、「お」と「あ」のメソッドをまず覚えて楽にできるようにする。次に「う」、そして「え」、「い」と5種類の母音メソッドをマスターしていきます。意識の集中点を感じることができれば、体感空間よりも分かりやすいということも大切なポイントです。体中に気を満たし、肋骨が広がり胸が高く、喉が自由になる体の使い方をさせる。それによって声が楽に出る。その時は結果として呼吸を支配し、豊かな気分を創り出しているのです。母音メソッドでそれを実現していきます。そしてそれらが錐体外路系に入ってしまうようなやり方を提示していきます。思いつくまま書きましたが、これが今年の課題になりました。

 この記事は2014年1月号に掲載したものですが、2011年にナチュラル ヴォイス ヨガを出版して10年になる現在、この間に得た新しい気づきや多くの呼吸法を加えた改訂版を出すか、それとも新たな本にするか考えているところです。でもまずはこのサイトに公開していきますので、実践してより良い呼吸と声を手に入れてください。

毎月の会報に掲載している記事をアップしていきます。「呼吸のコントロール力」(呼吸コントロールのメカニズム)も読んでください。

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