誰もが知らず知らずいつも感じている心のふくらみ。呼吸法をすると肺以外の所にも息が入っているように感じる空間。そのような誰もが感じている意識空間を体感空間と呼んでいます。イメージによって作られる空間ですが、決して想像の産物ではありません。スポーツ選手が行うイメージトレーニングとも関係のある、身体の状態でも心の状態でもあるイメージ空間です。この感覚は、呼吸の入り方(すなわち身体の状態)として捉えることで誰もが共有でき、また、そこを手掛かりに呼吸の状態を変化させることで、全心身の状態を変化進化させることのできるようになります。
希望に胸がふくらむとか、胸がふさがるというように、心や体の使い方と共にあるもので、私たちは無意識にそれを空間のイメージとして感じ暮らしています。心が広いというときには、広い体感空間を感じていて伸びやかな状態にいるということですし、心が狭いというときには、狭い体感空間を感じていて心が窮屈な状態にいます。もちろんこのときは体も窮屈な感じがしています。
体内に感じる空間を体内空間と呼び、体外にまで広がった空間を体外空間と呼んでいます。呼吸法をしたことがある方なら体内に空間を感じることはお分かりでしょう。実際には空気が入らない、お腹や腰にも感じるイメージです。ですから体感空間は気や息の一つの側面であり、静的な空間と捉えることもできますが、方向性を持ったエネルギーが生み出す空間とも捉えることが出来ます。
体内に感じるイメージ空間を体外にまで拡げることにより、自分の存在を拡げ、自と他の境を減らし、なくしていくことが、より良い体の使い方、より良い心の使い方を生み、豊かな心と良い声を出す秘訣です。この空間を呼吸や体の使い方で自由に支配し、身心の状態を変え、声を変えることができます。
体感空間を駆使して和らいだ上手な体の使い方をマスターできますが、この体感空間という感じ方は応用範囲が広く、武道、芸道などの立ち振る舞い、体の姿勢や心の姿勢の自己チェックと改造などなど、この感じ方を身につけると、生きるすべてに新しい尺度を持つことが出来るようになります。
この空間意識の存在に気づき、興味を持ったのは、17~18歳の頃に出会ったこんにゃく体操(野口体操)がきっかけです。この空間意識を追求し、沖ヨガの発声体操を研究する中から、母音メソッドが生まれ、また、ナチュラル ヴォイス ヨガの呼吸法が生まれました。
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