2014.05.19
「目で見るヨガ」という本があります。白揚社刊、日本語訳は1962年5月初版。
沖先生に出会う前、初めてヨガに触れたのがエスディアン著「ヨガによる心身強健法」という本でした。
その後沖先生の本に出会ったことが早い段階で人生の方向付けがされるきっかけになったのですが、その前に、ヨギ・ヴィダルダスという人が著したこの「目で見るヨガ」にも出会いました。
写真の多い本で、今でも身体の使い方を観るのに手に取ることが時々あります。このほかにも「ヨガの料理手帖」がヨギ・ヴィダルダスとS.ロバーツの共著で出版され、本屋に並ぶなり購入したことを覚えています。
ヨギ・ヴィダルダスがこの本を書いたのは何歳ぐらいだったろう?などと時々思うのですが、本の中には個人的な情報が載っていませんし、ネット(国内サイト)で調べても、この2冊の本のことしか出てきません。
私がこの人に深い関心を持つのは若いときに読んだからというだけではありません。
音大学生中にヨガに夢中になり、世間ではベトナム戦争反対に続いてどんどん拡大する学生運動が高まる中、声とヨガと歌、この3つだけにどっぷりとつかった生活をしていましたが、発声法については学校の教授からは学ぶことはできないと感じ、学外で何人もの、いろいろなタイプのヴォイス トレーナーについて発声法を学んでいました。
その中には、ヴォイストレーナーとして日本にもその名声が聞こえて来ていたフスラー(Frederick Husler)に直接習ってきた人や、フスラーの直弟子から習ったという人もいました。
私の覚え違いなのでしょうが、90歳で現役のヴォイス トレーナーをしていると聞いたと、最近まで思い込んでいて、よし、自分も90まで現役のヴォイス トレーナーをやるぞと今も思っています。ところがつい最近、海外のサイトで調べてみると、born in Utah, USA in 1889 and died in 1969 in Switzerland. ということで、80歳で亡くなっていたようです。でも私が学生中、まだ現役で教えていたのは間違いなさそうです。
ちょっと横道にそれましたが、このフスラーとマーリング(Yvonne Rodd-Marling)という女性との共著、「Singen」という本が1965年に出版されており、1978年に印刷されたものを音楽関係の書店の洋書コーナーで見つけたのです。本の噂は聞いていましたから宝物を見つけた感じですぐに購入しました。
なにぶんドイツ語で書かれているので、通して読もうという気力はいまだ起こりませんが、1987年の6月に音楽の友社から「うたうこと」という題名で日本語訳が出版されたので概要は理解できました。
しかし、フスラーやマーリングが伝えたかったニュアンスを読み取るにはドイツ語の原書で読むべきと今も思っています。とはいうものの、ゆっくりと辞書と首っ引きで読むのはもうちょっと先になりそうです。
さてなにか話すたびに横道に入りますが、本筋に戻ります。
この「Singen」には喉頭部の挿絵がたくさん入っているのですが、それに混じってなんと、ヨギ・ヴィダルダスの写真が1ページを割いて載っているのです。その写真は結跏趺坐を組み、印を結んだ手を膝の上に置く、私たちが冥想の時によくする姿勢で瞑目した写真なのです。
そしてその写真の下には「最高の成果を引き出し得る姿勢に保たれ、よい呼吸法を行っている肉体はこのように見える(日本語訳「うたうこと」より)」と書かれています。
この本にヨギ・ヴィダルダスの写真があるということは、フスラーはヨガによって調った体と呼吸に深い関心を持ち、その自然な本来の体の使い方についての洞察を深めていったのだろうと思います。
海外サイトではメニューイン(Yehudi Menuhin、ヴァイオリニスト)がヨギ・ヴィダルダスと一緒にライオンのポーズをやっている写真などが掲載されていますが、フスラーとの関係はあまり知られていないのか、見つけることができませんでした。
私は、目で見るヨガの中のヨギ・ヴィダルダスの写真から、体や呼吸の使い方のヒントを多く得ています。
Singen 挿絵番号54(Yogi Vithaldas Parekd)
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