沖先生の思い出

沖先生の冥想指導 2

  沖ヨガ道場での冥想行法の体験記の続きです。

 沖ヨガ道場に通うようになって1~2年経った頃のことです。沖先生の指導は迫力があるので、受講生も研修生も皆がとても緊張して、ピーンと張り詰めた空気の中で円座になって座っていました。
 頭で天を突け! 胸を突き出せ! 肛門を締めろ! などなど沖先生から檄を受け、なんとかその指示通りに姿勢を整えようと、結跏趺坐で一生懸命に座っていた時です、 

「そうだ、それでいいんだ!」

といわれたことがありました。その時の私の状態は、胸が高く広がっていて、普段の胸の状態とはずいぶん違いました。そしてとても体が軽く、それまで自分が上虚下実、正しい姿勢と思っていた状態とも全く違い、普段とっていた冥想の姿勢ともかなり違いがありました。
「へ~? これがいい姿勢? 軽くて気持ちがいい、でもこんなに楽でいいのかな?」などと、不思議マークが頭にいっぱいのまま座っていました。

 これは昭和46~47年頃の話で、50年も前のことです。その時の姿勢の印象や沖先生の言葉は今も憶えていますが、その姿勢そのものの感覚はいつの間にか忘れてしまっていました。

 突然現在の話になりますが、最近、私がセミナーや教室で指導している内容、特に個人指導では、一般的なヨガ教室ではやらない、あまりヨガらしく見えないような内容が多くなっています。中でも特に力を入れているのが《跳躍呼吸法》、この呼吸法をやりながら、肋骨が高く広がり吐く息に力がこもり、吸う息が楽に流れ込んでくるような状態を作っていき、そこで、声をバロメーターにしながら姿勢や呼吸を調えていきます。

 こんなやり方をしていると、ピタッと姿勢が納まるという体験をする人がときどき現れ、最近はその数が増えています。 その姿勢は、結果として3つのバンダができている状態なのです。背スジが伸び、頭頂が天を突き、お腹が締まり、肛門が締まり、肋骨が高く、首の力が抜け、胸骨の先端が顎を押し上げるような感じになっている。とても楽で気持ちよく、充実感のある姿勢です。

 力の入れ方や気の方向性などの色々なことを言葉で言ったり手を添えたりして直し、そして声の響きや出る方向などを調えていったときに、フッとその状態に入ることがあるのです。

 「そうだ、それでいいんだ!」

 と、その瞬間、口をついて “この言葉” が出てきます。上がる気と下がる気、締める働きと緩む働きのバランスのとれた状態、上虚下実、丹田に意識を置いている姿勢、勝手に肛門が締まり下腹が引けている状態が生まれているのです。このときはバンダをしようなどとは思わないでも、いつの間にかそのような力がこもっているのです。

 大昔に沖先生が教えてくださった姿勢がこの姿勢だった。「それでいいんだ!」と自分が言ったときに、何十年も前の記憶がよみがえった。そうだったんだ、あの時に教えていただいたことがこれだったんだ。
 そうか、そのままあの状態を素直に求めていればもっと早く進化できたかもしれない、などとも考えるけれど、それは一瞬だけ、よく思い起こしてみれば、紆余曲折があったからこそ現在の私があるわけで、それを無駄な時間や行動ととらえる必要は全くない。

 その時それがそのまま体の悟りに繋がらなかったのはそれなりに意味のあることなのだと思いながらも、あのときのはてなマークのような感覚を懐かしく思い出している。そして面白いことに、長年求めてきた姿勢を自分で再現できるようになり、そしてそれを他の人も体験させることができた瞬間、何十年も前に沖先生に言われたのと同じ言葉が衝いて出るのです。「そうだ、それでいいんだ!」

 あの時沖先生が言ってくださったのはこのことだったのだ。と今はわかります。そのときはたまたまできただけ、でも意識的に再現するには、その頃はまだまだ自分のものにできていることが少なすぎたのです。そして人に伝えることが出来るようになるにはもっともっと沢山の時間が必要でした。

 冬の寒い日に、座っているだけなのに汗をかくほどの緊張をさせ、その中で安らぎを得る姿勢と呼吸を体得せよと言われていたのです。得難い体験をさせていただき感謝に堪えない思いがあふれてきます。そして、自分が体得し、人にその姿勢を体験させることが出来るようになって初めて、あの時の沖先生の喜びを感じることが出来ます。

 生徒も同じことが出来たとき、体験できたとき、それが無上の幸せを感じる瞬間です。

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