もとはこちら(平井先生)

宝探しとガラクタ探し

(2004/3/1 和気愛会第60号掲載 平井謙次先生講和)

 我々人間は、相対世界に住んでおります。これは「宇宙の理法」ですから、好むと好まざるの別なく、誰でもこの法則を破る事はできません。素直に相対世界に住み切る事が、真の安心を得、安泰を得て幸せになる基本です。太陽は誰がなんと言っても、東から登り、夕刻には西に沈んで行くのです。この事を人間程度の知識でどんなに避けようと思っても避けることは出来ません。

 この事と同じ様に我々は常に神の掌の上で、「自分」という役割を演じているわけです。例えば、相撲取りは、すもうを取って相撲取りです。セールスマンはセールスをしてセールスマンであると言えます。老人は老人をして老人です。

 さて私も結婚式などに招かれる事が多いのですが、その折の簡単なスピーチの中で、必ず言うことがあります。それは、例えば、お嫁さんの側に立った挨拶の時はその女性に対し、

 「あなたは今日から、ふたつ立場が増えましたね。先ず、嫁いだお家の嫁という立場です。それからもうひとつは、夫を前にしては妻という立場です。それからやがて二世が誕生すれば、お母さんという立場になります。この事はあなたがどれだけ肯定しようが否定しようが、そんな事に関係なくそうなります。ですから自分の役割である嫁なら、最上の嫁を演じさせて頂こう、また妻であるなら妻らしく、最上の妻を演じさせて頂こうと思って下さい。そして子供を前にした時は、最高の母親を演じさせて頂こうと努めて下さい」と話します。

 相手の立ち居ふるまいによって自分の役割を投げ出してしまう人も多いのですが、そういうことでは決して幸せにはなれません。あの聖人でおられる黒住翁もこう仰っておられます。

 「立ち向かう 人の姿は 鏡なり 己が姿を 写しても みよ」

 この言葉を深く深く掘り下げ、よく噛みしめ、考えてみてほしいと思います。相手の姿だとばかり思って見ていたが、よくよく観れば、それは自分の姿そのものであった、ということです。ですから私も、吾が子を前にしては吾が子が師匠であると思い、また妻を前にした時は、妻を師匠と思い、兄弟姉妹を前にした時は、兄弟姉妹を吾が師匠と思うよう、それを一つの理想像と掲げております。

 どんな人でも、またどんな物でも、使いようあるいは使われようによって、宝物にもなればガラクタにもなります。例えて言えば、あの出刃包丁です。これを凶器として使えば、ガラクタでしょう。しかし本来的な役割であるところの、料理をするという事に使えばそれは宝物となります。

 この様に物でも人でも、本来的にはただ、物という存在であり、人という存在です。それをガラクタにするのも宝物にするのも、結局はそれを使う側の責任です。相対世界にいる我々だから、使いよう使われようで、ガラクタにもなれば宝物にもなれるのです。物は取りようで、不足も言えれば、感謝も出来ます。

  我昔所造諸悪業

  皆由無始貧瞋痴

  従身語意之所生

  一切我今皆懺悔

という懺悔文があります。お経の前文にあり皆さんもよくご存知だと思います。

 これを平たく言えば、

 「私は今までの生活の中で、沢山の間違いを犯してきました。それらを反省し訂正して、より正しい生き方をするように努めます」 

と、簡単に言えばそういう事です。その精神で日々研鑽すれば、ガラクタも宝物に変わります。また失敗も成功に繋がり、病気も癒され、より健康体になります。病気というガラクタが、宝物に変化するのです。

 先程も書きました様に、懺悔をする事によってあらゆるガラクタが宝物になる訳ですが、その様な懺悔をする秘訣は、どんな事でもそれを肯定的に楽観的に解釈する事です。

そして自分の目の前に表れたこと一切を、これ全て神からの賜り物と受け取り、神が「さあ、この失敗を、お前さんどう解くか?」といって与えてくださったものだと解釈することです。

 良き師、悪しき師の別なく常に肯定的に判断し、それを将来に生かせば、その失敗は失敗でなく、成功であったと言えます。

 ガラクタ等というものは、本来ないものです。一瞬一瞬が学習であり、また一瞬一瞬がテストであると私は思います。みんな宝物だと思います。私たちは皆一家(親せき)や、皆兄弟やと言うことです。相手を宝物と思って、仲良く暮らせばそれで良いのです。

 他人さんと仲良くする為には、ナンテッタッテ、先ず自分と仲良くならなければならないと思います。自分と仲の悪い人は、どんなにしても、他人と仲良く出来ません。ですから、やっぱり一番の師匠は自分自身ではないかと思います。先ず徹底的に自分と仲良くする練習から始めなくてはと思います。自分が自分に惚れる事ができればな、と思います。

 この和気愛会(トータル・ライフ・デザイン)を主宰なさっている木村先生とは古い古いおつき合いで、いつもご尊敬申し上げ、何かとお世話になっています。先日も月刊誌を頂戴し、何でも良いから思うがままに何かメッセージを書いて送って来いということでしたので、筆の走るままに、会員の皆様にご挨拶をと思ってちょっと書かせて頂きました。これを機会にどうかよろしくお願いしたいと思っております。

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