病気・老化-常識的行動が常識的結果を招いている

呼吸コントロール力

世間の常識 ー 常識の生む結果

ヨガの向かうところ

 ヨガだけでなく日本にも古くから伝えられた呼吸法があるようです。呼吸法の本来の目的は、私たちが生まれながらに持っている元気で伸びやかな生を謳歌する能力を開くことにあるはずです。でもその高い目標はいつの間にか手近で見えやすい目的に置き換えられます。呼吸法に限らず、貪欲な人間はその目的を自己の満足、その場限りの満足に向け、その向く先は自分の生きる環境を壊し、結局生命を危うくするような状況を作ってしまいます。その矛先の向き方は様々です。しかし、生を見つめるなら、より良い生を求めるなら、そう沢山の選択肢はないはずですが、そこに、他の人よりも早く高く強く上手くすごいことを・・・という心が生まれ、生命を活かす方向を見失います。

 ヨガという言葉一つをとっても同じです。何千年も前から伝えられてきた本来の生を謳歌するという目標がここに至って手近な目標に置き換えられています。より変わった何かを求める人たちがいて、より何か別なものを求めて、こんなことあんなものをと、生命から見るならどうでもいいことを求め始めます。最近のその動機の中には金儲け・見栄・自己顕示が入り込み、ヨガという言葉の使われ方まで様々に変化してきています。

本当のこと

 これらの傾向は本当の生き方を求める人たちにとっては邪魔で目障りなものでしかないことでしょう。本当のことは世に溢れる情報からは得られず、体験して真実を掴む以外に真偽を見極める方法はありません。本当のことは自分が体験しなければわからないのですから、誰かがウソを言おうがホントを言おうが、結局、分かる人にはわかるし、分からない人には決してわかることはないということです。分かる人にはウソはウソと認識されるし、分からない人、すなわち自分の頭を使わず体験もしない人達は間違った情報に踊らされ、自らを破滅させていくということになります。私がここで嘘だ本当だと叫ぶ努力など大した意味を持たないのかもしれません。

 現代多くの人が患う免疫系由来の疾患の多くが自律神経の不調和から生じているだろうと私は推測しています。そしてその元にあるのが呼吸不全であろうと考えます。ここでいう不全とは生まれながらに与えられている深い呼吸をする能力の不全という意味ですが、これらを証明する手段を持ちません。

 自分のやってきたことで健康や寿命など将来がどうなるのかはわかりませんし、自分の心身で実現できたことであっても一度きりの人生では再現性を確認することもできません。でも、それを証明するために膨大な努力をするよりも、その分の力を、自身の豊かさをもっと追求することに向けたいと思います。自分の生命に訊いて生命の求める方向で生きてきて得たものは、人とは比べられないけれど、自分にとってはとても大きく、“それ”を得るようになった経緯や実践と体験の内容をもっともっと多くの人に伝えなさいと、私の生命は強く訴えてきます。

現代の状況

 寝ているときは酸素の消費量が少ないので、肋骨を引き上げる働きを休ませ、横隔膜だけで息を取り込み、交感神経系を休ませています。しかし、起きているときには交感神経系がよく働かないと活動がうまくいかないし、酸素が多く必要だからこそ肋骨を引き上げて胸腔を拡げ、酸素吸収量を増やしていると考えられます。最近は血中酸素濃度のこともよく言われますが、そのためにも肋骨を引き上げない呼吸法をすべきではありません。

 もちろん、普段の生活でも同じ、

 毎日呼吸をして生きているのですから、起きて活動している時の肋骨の下がった生活は健康も尊厳までも失うことになります。よく鍛えた身体で肋骨が高く見えても、その肋骨の使い方の力の向きが下を向くことが自律神経の働きを損なったり、気力を失わせたり、また不安感を引き起こします。この方向性は生命の持つ生まれながらに与えられている働きです。自身を観察し身体の状態や心の状態を検証すればなるほどと分かることでしょう。くれぐれもこれに逆らわらない生き方((いき)の仕(かた))をしたいし、していただきたいと強く願います。

 街を歩き電車に乗って人を見ていると、多くの人が肋骨を落として歩き、また生活しています。最近は姿勢のことをあまり言わないせいか、肩を後ろに引いて胸を張ったり、無理に伸びた感じの姿勢の人は減りましたが、反対に、胸が落ちて背中が曲がり、頭を前に出している人が増えています。呼吸法はそれほど一生懸命やる人が少ないでしょうから間違ったやり方がNetに溢れていてもそれほど害が増えるとも思えませんが、肋骨の低い状態、低くなるような感性で生きること、そのような身体や呼吸の仕方のすべてが、生を謳歌したいと考える人、すなわちすべての人にとってマイナスに働きます。でもこの方向性を変えようとするのは結構難しそうです。若い人の場合は、気付きさえすればまだ早く戻せますが、気付きを得る人はとても少ないことでしょう。反対に、歳を取るほどにいい意味での分別ができ、ウソとホントの区別のできる人が増えてきます。そのような人は聞く耳をもちますが、身体や心につけた癖が年齢の分強固なので戻すのに努力や時間がより必要になります。とはいっても、肋骨の方向性が下を向いたままでは決して深く気持ち良く伸びのびとした呼吸はできません。何歳になっても「気づいたが吉日」で取り組む以外ありません。

 かく言う私も若いころからわかってはいたはずのことですが、突き詰めていくとこのようにやるしか方法はないと分かってそこに焦点を合わせて生活するようになったのは随分歳を取ってからです。まだまだ思い通りにはなりませんが、多くの人を指導することで、自身もその意識、その身体の使い方、その心の使い方、なぜそこに向かうかなどの意味が少しずつ心に身体に浸み込むようにわかるようになってきました。また現在、世間では歳を取ったといわれる年代のたくさんの方がこれに取り組んで着実に成果を上げ、喜々と暮らしておられます。

 呼吸が深いというのは酸素を多く取り入れることができるというだけのことではありません。自律神経の働きが高く免疫力が高く、心が安定して健康度が高い状態です。呼吸のメカニズムで言えば、吐く息に意識と力がこもっていて呼吸の幅の大きい状態です。呼吸の拮抗の観点で言えば、肋骨と横隔膜とで胸郭を拡げた状態を維持し、吐く息に力がこもり、吐いた後は息の方から流れ込むように入ってくる状態のことです。

 この呼吸は生まれながらに持っている生命を謳歌する働きであり、幼いころ、子供のころには当たり前に働いていた機能であるのに、多くの人たちが年齢と共に忘れてしまう傾向にあります。もちろん、健康度の高い人たちはその機能を衰えさせず使っているからこそますます健康度が高くなりますが、その機能を失いつつある人たちはどんどん呼吸が浅くなり、そのために健康度が下がればますます呼吸が浅くなるという悪循環に入ってしまいます。街を歩くと、もちろん元気な若者もいますが、心の萎んだ若者の多さには驚きます。呼吸が広がればその分心の萎みもなくなるということを知って、価値観・呼吸・身体の使い方など、生活の全てが生命を活かす方向に変わって欲しいと願います。

世の医学的情報は正しいか 

 ここが一番大切なところと思いますが、呼吸が深く自律神経の働きが高く安定している、ということは生まれながらに持つ働きです。でもどうしてその働きが歳と共に減ったり、若くてもなくなったりするのでしょうか。現代の医学的な情報では、年齢と健康度の関係をグラフに書いて、多くの機能が直線的かまたは放物線的に右下がりに下がっていくと説明しています。これは統計をもとにして出てくる結果です。しかしこの機能低下は本当に年齢そのものが原因で起こっていることでしょうか。

  年齢の高い人は自分の健康度と統計とを見比べてそう思うのでしょうか。若い人の場合は自分には関係のないことだと思って鵜呑みにするのでしょうか。多くの人が何の疑問も抱いていないように見えます。歳をとれば病気になる、内臓が傷む、()けて当たり前だと思っています。たしかに、体力や筋力が少なくなり、能力や適応力の低下が起こることでしょう。でも、それは健康度が下がるということではありません。生活のテンポや行動の仕方が変化するだけのことです。例えば、怪我をすれば元に戻そう、治ろうとするのが生命の働きです。年齢と共に傷の治りが遅くなるといっても、元々瞬時に治るものではなく、元に戻そうとする働きはなくなりません。死ぬその時までこの働きはなくならず、常に健康状態を保つことが当たり前の姿です。桜の老木が春に年老いた花を咲かせるでしょうか。なんでも老齢のせいにして自らを憐れみたいのでしょうか。都合の悪いことは自然のなせる業で自分に責任はないとでもいいたいのでしょうか。たしかに、平均値をとれば、病気になる度合いは年齢とともに上がりますが、その原因はひとえに生活の仕方の問題であり、その傾向の始まり、すなわち生活の間違いは多くの若者にとっても、青年期いや成長期からすでに始まっています。とはいうものの、自分のことを思い起こしてみれば、若い間は自分が歳を取るということは考えられなかったし、自分が部分的には歳寄り並みになっていたということも理解できていませんでした。

 世の中の多くの情報が間違っています。医者の多くからもメディアからも本当の情報は得られません。生命全部が一つとして生きているのに、それを部分に分割してものを考えるからおかしくなっています。統計や平均値を個人に当てはめることが科学的でしょうか、まるで生命が不完全で、それを頭が補わなければならないかのような情報がアカデミックなところからも人の気を引こうとするメディアからも、政治まで巻き込んで流れ続けています。新しい医療の方法をとめどなく生み出しますが、生命にとって正しい情報が伝えられているなら、世の中の病人が減ってもいいはずです。でも実際には増える一方、薬の消費量が増え医者の数を増やしても追いつきません。医療関係の人や学者、また専門家ではない人もこれをおかしいと思わないのでしょうか。60年以上も前のことですが、私の子供時代には最新の医学だとして大切な器官を安易に切除していました。海外で虫垂炎になると手術費用が高いからと渡航前に盲腸を切り取るということまで行われていましたが、最近は腸内細菌叢や免疫に関係した重要な器官とされ、よほどのことがなければ切り取られることはなくなったそうです。それでは、現代の最先端の医学なら間違いはないと信じるのでしょうか。50年後に振り返ればきっと同じことが起こっていることでしょう。いやテンポの速い現在は10年でも同じことが起こるかもしれません。でも、地球上には薬や医者からは縁遠くても、淡々とイキイキと生きている人たちの生活があり、その人たちには全く違う生活習慣やノウハウがあることでしょうし、健康長寿のヨガ行者たちの生活や健康状態を研究した人たちもいるのに、金だけは稼いでおかなければならない製薬医療業界は世界中で多くの犠牲を生命に要求し、政治もそれを助長しています。もちろんそのような政治経済がらみから外れている多くの医療従事者がおられることでしょうが、体制にドップリとつかった人たちが政治を動かし、自分たちに都合の良い前提のもとで生命を生かすことを考えるという無理な方法論に陥っているのに、多くの人がそれに気づかないでいます。とくに政治を動かす人、学会を牽引する人たちに善意があっても、頭の働きを過信するあまりアカデミズムの落とし穴にはまっているのではないでしょうか。

 最近はゲノムをいじってまでの医療が生まれてきていますが、その前に、まず生命の持っている力を存分に発揮させる、ということを考えるべきです。まず元々ある力を活かし、それで足らないというなら、そこで初めて人間しか持たない知恵を投入すればいいのですが、生命の働きの邪魔をし痛めつけることで病気になり、老化的現象が起こっているのを別の方法で助けようなどと考えることが生命に対して失礼千万なことです。生命の巨大ネットワークが明らかになってきました!と騒ぐ前に、部分を覗いただけで生命をいじりまわす前に、やるべきことが山ほどあることでしょう。

 文句タラタラ、話しが横道にそれた感もありますが、声も同じことです。健康も、生きがいも、すべて同じところから出発しています。生命の働きに帰るという意識が私たちの社会の中に育ってこなければ、近い将来大きな代償を払わされることになるかもしれません。いやそれは既に始まっているのかもしれません。

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