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NVY-intro27

ナチュラル ヴォイス ヨガ入門 27

 和気愛会 2016年4月号 (No.199)

 “声と体感空間”については何度もお話ししていますが、言いだしっぺの私自身の理解も時と共に少しずつ深まってきているように思います。

他のヨガにはないナチュラル ヴォイス ヨガの特徴として大切なところなので、この言葉の意味と使い方をもっと皆様に理解していただくため、少し違った切り口でのお話しに再度挑戦してみようと思います。

 それにしても具体的なノウハウを文章で表現することは本当に難しいですね。

  この体感空間という感覚は、声や呼吸を語り、また新たな声を体験し、身につけるうえでとても便利な感覚なのですが、何しろ目で見たり触って分かる“形”を持たない「感覚」ですから、他の人と共有するということがとても難しいのです。

でも 感覚の共有がなければ、それを使ってレッスンをし、声や呼吸を変化させるというようなことはやりようがありません。多くの歌手や声の先生が生徒に声の出し方をうまく伝えることができないのはここの問題なのです。

同じ体験をし、その時に生じる感覚を同じものであるとして確認し合う以外、その共通性を確かめ合う方法はありませんし、その体験を重ねてこそ一緒に進化する共有の感覚を持つことができるのです。そして共通の感覚が増えるほどにレッスンもしやすくなります。

 それでは、体感空間はそこでどんな役割をしているかというと、多くの人が響きとして捉えている声の出かたを、呼吸の状態として捉える、そしてその働き方、すなわち 筋肉の使い方や気の流れる方向に、体の中外の意識空間を広げ、そこに声を置くように捉えることで、感覚と頭の理解を結びつけるのです。

いわば、大きな空間のマップを作るのです。声を学ぶときに、響きや力加減の感覚だけに頼ると往々にして偏った方向に行きやすいのですが、体感空間という感覚を介在させると、体や呼吸の使い方と声の出方を結びつけることが可能になるのです。

意識空間の四方八方の方向性をすべてクリアすることは、声の全ての働きを身につけるのと同じことなのです。 全体を見わたす観かたなので、“抜け”や“欠落”をなくすためにもとても役に立つのです。そしてこの体感空間は、驚くべきことに、心の状態そのものを姿として捉える感覚でもあるのです。

心の世界にも縦横無尽の切り口があり、体感空間で捉えるのはその一つの切り口でしかありませんが、声の全ての方向性を網羅できるのと同じように、その切り口の中では心の全方向性を網羅できるのです。

これを例えでいうと、「迷路の中にいて出口を探すことは困難だけれど、俯瞰してバ-ドビューで観れば、出口は一目瞭然でわかる」というのとよく似ています。視点を全く別なところに置くことで全体が見渡せるようになるのです。

 さて、体感空間も声も、全体に大きく広がることが大切なのですが、これは瞑想をして意識を広く深くし、心を安定させていくことと、とてもよく似た作業です。要は心が広くなり、呼吸が広く深くなり、声も広く深くなっていくのです。

 この変化は体の使い方でいえば、肋骨の広がり方が大きなウエイトをしめているのです。

 この体感空間というものがどのようにして感じられるのかということは、今年の2月号(ナチュラル ヴォイス ヨガ25)にある程度詳しく書きました。それは呼吸と一体の感覚であり、肋骨の広がり方や横隔膜の使い方と密接に関係した感覚だということです。

ですから反対に、心がいくら広がろうとしても体の制約で拡がれないということが起こるのです。消極的な心や不満に満ちた心(体感空間の狭い心)は肋骨の使い方を限定し、それが体の使い方として身についていると、いくら心(体感空間)を広げようとしても体がその邪魔をしてしまうのです。

 ヨガの三密では「体と心」の把握のため、それをつなぐ働きとして間に「呼吸」をおきますが、それを「体感空間」に置き替えることでより明確に理解できるようになります。体感空間は呼吸の “形” なのです。

まずは色々な方向に広がることのできる呼吸法や体操、また色々なタイプの声を使って、肋骨を全面的に広げるための筋肉の一部分でも身につけることから始めるのです。

 母音メソッドは感じ得る空間を一度に全部を広げるのではなく、前方向とか後ろ方向というような部分的な広がりを生みだすような声を出し、それらが全体的に融合していくことを目指すのです。

求めるところは全ての方向に広がり、より大きな体感空間を得ることが眼目ですが、これは全てに反対の方向を含む拮抗する力の総和ですから、突然そのような使い方を身につけることはできません。

まずは右の方とか上や下とか、少しずつ色々な方向への使い方を学び、筋肉の働きを身につけることによりそのような肋骨の使い方ができ、そしてそのような声が出てくるのです。

まずは前に広がる声、そして後ろに広がる声、というように学んでいき、そこからすべての方向に広がる声、即ちすべての方向に広がる “声と心” を自分のものにしていくのです。これが母音メソッドのやり方です。



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