自分らしく生きる生き方そのものが人を健康にする

NVY-intro26

ナチュラル ヴォイス ヨガ入門 26

   2016年3月号 (No.198)

呼吸の筒

 2月の末に4回目の東京セミナーを行いました。

 辻りのあさんが主催のセミナーとしては去年の8月、 11月、そしてこの2月の3回です。

少し早起きをして新大阪を出発。

昼前から夕方までたっぷりと時間をかけ、自分の声だけれど今までに出したことのない声、そんな声が出てくる面白く楽しい体験をしていただき、翌日は個人指導会で、一人1時間以上かけて、個人に即した必要な体の使い方や呼吸のあり方を体験、また覚えていただけるようなレッスンをしました。

 具体的な体の使い方や呼吸のありかたを体験体得していただくことを目的としていますが、その前になぜそれが必要なのかということ、そしてそれが生まれてきた理由や意味を理解しなければ、その ノウハウを自分のものにすることはできません。

テクニックを生みだす自分の意識の方向性がなければどんなノウハウも形だけのものになってしまうことでしょう。

ということで、いつもそのあたりの話に、つい多くの時間をかけてしまいます。今回はその時間の短縮のためにプリントを作りましたので、いつもよく似た内容になっているかもしれませんが少し改訂をして皆様にもご紹介します。

 実技としては、今回は呼吸の筒という体内空間の広がりを体験することをメインにして、体操や呼吸法とともに声を出しました。

ヨガを求める
(ヨガという言葉、本来はバランスという意味)

伸び伸びとした、ゆったりと大きな体感空間を感じて生きることを私たちはいつも求めています。
それは、喜びや夢にあふれて生きていようとする生命(イノチ)の働きそのものなのです。

しかしそのようなイノチの働きを充分に活かして生きている人がどのくらいおられるか、自分に他人に照らしてみてどう思われるでしょうか。世の中を見渡した時、そのような生き方ができている方は社会的成功者よりももっと少ないのではないでしょうか。

これは本来、誰もが持っているイノチの働きです、イノチあるすべてのモノが持っているのに、人間はどうしてそれを活かして生きることが難しいのでしょうか。でも、一度それを感じ見つけさえすれば、誰もがそこに引きつけられてしまうはずのものなのです。

私はヨガを通じて伸び伸びと喜びに満ちた生き方を手に入れたいと50年探し求めています。 険しく見えていたその道は、昔に比べて平坦にはなっていますが、今もその道をひたすら歩み続けています。

そして今思うことは、誰にとっても、本来持っているそのイノチの喜びを見つけ、そしていつもそこを見、いつもそこにいて喜びに浸る生き方を見つけ出す以外に、せっかく与えられている人生を心底から謳歌する方法はないということです。

さてこの喜びは、心の状態であるとともに、呼吸の状態、体の状態でもあり、声の出方でもあるのです。 喜びに満ちた人の姿勢はどうなっているでしょう、浅くてハアハアした息をしているでしょうか、首が縮んだしゃがれた声を出しているでしょうか。

 歳を取れば誰もが声がしゃがれてくると思いますか? それは決して歳のせいでありません。 病気で苦しむのは運が悪いからでも、医者が悪いからでもありません。 喜んで生きることができないのは人間として生まれた宿命ではありません。

自分の健康や喜びや生きがいの根本はイノチの中にあり自分の外をいくら探しても決して見つかりません。外にないかと探しまわって結局根本になるものを見失っているだけなのです。

かといって自分の内を探して見ても直接に見えるものではありません。イノチの外に表れたもの、生命の姿、すなわち生活や気分を通して自分を観察し、より生命を謳歌できる道を探すのです。

喜んで生きがいを持って生きているかどうかは心にも体にも、そして生活全般にも自分の状態として表れています。ですからその表れたところから修正することが可能なのです。

ナチュラル ヴォイス ヨガではそれを声から見つけようと提案しています。声は呼吸の別な顔です。命が喜んでいるときの声がどのような出方をしているのか、それを体験し、そして繰り返し自分に教え、喜ぶことのできる声と呼吸を自分の中で育てていくのです。

声に限らず、より多くの「イノチの感じる快感」で自分を育てていくのです。

これがヨガをするということですが、そのためにはまず心を調え、体の使い方を正し、食事や呼吸を正し、そして心に自分のいうことを聞かせるようにし、ということが必要になるのです。

喜びに満ちた世界に常住したいと思うなら、ヨガと名前を付けないでも、同じことをする以外ないのです。

この世界はヨガの専売特許ではありません、しかし、心・体・呼吸の全てから、そして、哲学的・宗教的・科学的に探究し、実践をするという多面的アプローチで、どのようなタイプの人でも入っていける広範な多くの門を用意している。こんなに開かれた方法論はヨガの他には考えられません。

声を求める

暖かい心は相手を大きく包みこみますが、その心と呼吸の状態は自分にとっても心地よいものです。

反対に、イライラしたり怒ったりすれば、その意識も呼吸も、まわりを包みこむような大きさは消えて小さくなってしまいます。

自分の心の状態は、自分が存在したり占めたりしている空間の状態と同じものです。心が温かいけれど気持ちが狭いとか、イライラしているけれど心が広いということは考えられません。

この広い狭いは固定的なものではなく、一瞬一瞬変化している自分の心の状態そのものです。心はコロコロと変わり、その心とともに誰もがそれとなく感じている、自分が占めている空間も多様に変化しているのです。その空間は、自分の呼吸のしかたから生じる呼吸筋や皮膚の感覚と一体のイメージです。その呼吸は体の使い方でもあり声の出方でもあるのです。

 そこで、イノチの求める快感を覚え、その快感に従った声の出方を体験し味わうということが必要なのです。ただし、イノチの喜びは快感として感じることができますが、「快感 = イノチの喜び」ではありません。

感覚だけの快感に従えば破滅への道を歩むということもあり得ます。イノチの喜びに従うとはどういうことなのかを自ら学ばねばなりません。それは簡単に人に教えてもらえるものでもありません。

きっと、イノチを活かし活かされる共存共栄の世界であり、優しく広く、伸び伸びとしており、他から与えられる喜びではなく、自らが喜び、他と共有できる喜びであることでしょう。

そのヒントは人生のあらゆるところにあふれていますが、私は、声や体の使い方からそれを求め、また皆さんにもそこから得られたヒントを提供しています。

さてナチュラル ヴォイス ヨガでは求める呼吸や声の状態を生みだすため、それに必要な体の使い方ができるようになることをまず目指します。

拡がり方には色々な方向性がありますが、それは心の方向性とも大きく関わっています。

明るく元気な方向性は前や上の方に広がり、優しさや自省、そして支配性など、包みこむ方向性は後ろ方向への広がりです。

自己顕示や甘えは横に広がり、行動力や決断そして主張は下に広がり、明確な意思や積極性は上方や前後に広がる。

などなど、すべてが言葉で端的に表現できるわけではありませんが、大雑把にはこのような捉え方ができると思います。そしてこのような方向性は声の出方、特に母音の性質とも深く関係しています。

詳しくは拙著に書いていますが、 声が性格を物語るという面を誰もが経験しておられことと思います。性格や行動パターン、心の状態でとらえる空間と声が占める空間は大きく変化します。ですからその色々な方向性の中で自分に足らない働きを養っていくのです。

 またそれらの方向性とそれぞれの母音のもつ性質を使って、体の使い方と呼吸と声の3つを同時に使って自己変革を行う方法が母音メソッドです。

母音メソッドはそれぞれの母音の特徴に沿った体の使い方を覚えていきますが、その目標は、すべての働きを高める、すなわち、すべての方向に呼吸と意識が広がっていけるような体の使い方を覚えていくことです。

今回の実技

今回は、今までやった「お」と「あ」の母音メソッドに加え、「え」と「う」の母音メソッドを使って声が通り、体が広がるという気持ちよさを体験していただきます。そして、呼吸の占める空間が広く太く感じられ、それが前や後ろ、左右や上下に広がっていくような状態まで呼吸を広げていきます。

この広がりを“呼吸の筒”と呼んでいますが、体の中に声の通り道ができて、その道が広がり、筒のようになりその中を声が通ります。これができるととても気持ち良いのです。
私の生徒のひとりにこの筒についての感想を聞いてみました。

 体の中の空洞部が広がり、どんどん広がって内部の感覚が皮膚を超えて外とつながる。
体内空間が体外空間につながり、自分の把握できる空間が大きくなり、自分自身が大きくなったように感じられる。その気持ちよさは自己拡大、自己解放であり、こだわらない、引っかからないという状態そのものと感じられる。体の感覚から不自由さを除くことは難しいが、声は体の外に感じられるので、その声を出している間は体も心も不自由さを感じない。

 と、誰もが同じ感覚ではありませんが、呼吸が広がり、体感空間が広がるということは、とても気持ちの良い状態であると、皆共通に感じることです。



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