自分らしく生きる生き方そのものが人を健康にする

NVY-intro25

ナチュラル ヴォイス ヨガ入門 25

   2016年2月号 (No.197)

瞑想と体感空間

ナチュラル ヴォイス ヨガの具体的なノウハウをここに書きたいといつも思うのですが、その前にこのノウハウをどう使うかの方がもっと大切です。

そこがわかれば、ナチュラル ヴォイス ヨガにかぎらず、どのような材料も自己啓発に使っていくことができます。どのようなことも調心法にすることができ、喜びを得て生きるためのノウハウにしていくことができるのです。

ここが伝わらなければ私のセミナーも個人指導も意味がなくなってしまいます。声だけが変化してもそれが人生にどれほどの意味があるのでしょう。声が楽に出たり歌をより思いのままに歌えるようになるということは、自分の呼吸を自由にコントロールできるようになることであり、声の変化はその目安であり、それが実現していく証なのです。

ということで今回も体感空間の意味についてのお話におつきあいください。

呼吸法をすれば体内に息の入っている空間を感じます。お腹や腰など、実際には空気が入っていないのに、そこに空間があると思えるイメージの空間が生じます。

これは体内に感じる空間ですが、体と外界の境界を超えて広がる、体外空間と呼んでいるイメージ空間もあります。これは、自分が存在していると感じる意識が占める空間で、これが広がれば心の広さや開放感を感じ、狭くなれば窮屈になったり卑屈になったり、気分のよくない感じがします。そして、呼吸法をしたり声を出すことによって、意識的にそのイメージ空間を感じたり広げたりすることができます。

首・肩・胸・腰、どこであっても不要な力が抜け、楽な状態になってはじめて感じることのできる空間です。
この空間感覚は呼吸の状態から生まれ、学習することによって身につくものなので、トレーニングでその感覚を強めていくことができます。

体感空間は神経回路によって構築されます。筋肉の収縮や伸長の感覚、皮膚の感覚などが、快感、安定感、和らぎ感、緊張感、不快感などと結びつき、広がりや狭まりの感覚になっています。

 夢がふくらむ、世界が広がるというように誰もが感じることのできる心と体をつなぐ呼吸の状態の感覚なのです。そして空間の限定が少なくなる程に、体が解放されるとか心が開くというような感覚が生じます。

痛みやコリが消えた時にも同じような感覚が生じます。この感覚を使って、呼吸や体の楽さ加減を追及し、正しい姿勢の把握、より良い呼吸の仕方を把握し、そしてそれらと密接な関係にある瞑想や冥想のできる体と呼吸の状態を実現していくことができます。

この感覚は想像だけのイメージではなく、体感覚と結びついており、体や呼吸の使い方でコントロールすることができ、呼吸法や発声だけではなく、多くのスポーツのイメージコントロールにも使える ノウハウにできるものです。

しかし、私が大切にしたいところは、この感覚は、呼吸の状態そのものであり、自分という存在の在り方、物理的とか社会的とかではない、自分を観察した時に存在する自分の意識が占めている存在意識の在り方をコントロールするイメージであり、瞑想をし、呼吸を調え、自分の存在について感じる日々の冥想行法を実践していくための指針になるということです。

イメージで体をコントロールしようとする試みはいろいろあるようですが、私の知る中では野口体操はその最たるものです。快さを求めて自分の体の使い方を追求していくこの方法に出会ったのは50数年前のことです。こんにゃく体操として出会ったその時にはよくわかりませんでしたが、この感覚を正しく磨くことがより良い生き方にとってとても重要であるということが今はよくわかります。

気持ちの良いところに行くとそこのいい空気を胸イッパイに吸い込みたくなりますが、それは呼吸の詰まっていたところ、抑圧されていたところを開放しようとする動きであり、それこそが体感空間を広げる動作なのです。

不安や恐れを感じているときは呼吸が浅くなっていて、ホッとすれば大きく息をします。これは単に酸素を取り入れているということではなく、私たちの心の状態が呼吸と連動しているということです。ですから、呼吸を意識的に変えて心の状態を変えることができるのです。体感空間は呼吸に伴って動く筋肉や皮膚の感覚から生じているイメージ空間ですが、そのイメージを自分が豊かになる方向性の発達に使ってやるのです。

自律訓練法や自己催眠のような心のイメージ法などでは、自分にとってのよいイメージを心と結びつけてそこから体の働きの変化に持っていきますが、心を心のイメージで変化させようとすることで生み出すイメージは、体が感じたり体から生じる刺激に左右されやすいのです。刺激にもろい心を自分の意思するイメージにつなぎとめておくためには強い心の集中力が必要ですが、この能力を心の力だけで養うのはとても難しいものです。その点、体を使ったイメージは随分と強靭です。心と体の結びつきに体感空間というイメージを置くのです。

体感空間が生じるメカニズムを研究すればとても複雑な調査や解析が必要になることでしょう、しかし解明ではなく実際的な使用とその効用の方を大切にするのが実用的です。

 これは瞑想で安定を得るためのノウハウでもあり、安定するほどに体感空間が広くなります。そしてこの感覚を養うため、まずは呼吸法で肋骨を広げることから始めて憶えていきます。空間イメージという媒体を養いながら実際的に安定した姿勢を得るための呼吸と体の使い方を覚えていくのです。

なぜヨガが呼吸法を大切にするかという理由の一つがここにあります。 酸素や炭酸ガスの交換を促すというのは理由のほんの一部です。

自分に対する矮小化された、または歪曲された心のイメージはそれと同等の体感空間の中で生きているということなので、広く大きな心を持ちゆったりとしなければ、いくら瞑想をする格好をしても安定できず、求めている境地とはかけ離れたところにいることになります。体感空間が広がり、体の境界が溶けて限定感がなくなり、豊かさが溶けだし溢れ広がる。このためにこそ呼吸法をするのです。

意識を変化させ、より安定した状態を得るために、なぜ呼吸が広がるような体の使い方をしていくとよいのかお話しさせていただきました。

しかし、体の使い方だけでそれがすべて実現できるわけではありません。ハタヨガでは目標に向かうために体や呼吸を変えていくというウエイトが大きいのですが、これだけではきっとゴールに到達することはできないことでしょう。

より広くより深く感じて、より制約のない自由な境地に生きることを実現するためには、体の操作だけでは限度があることでしょう。体の使い方が上手になれば、体が邪魔をしてできないことがクリアされるわけですから、”頭や心”そのものの思い違いが原因になっている場合は、頭の理解が変わり、心の受け取り方が変わらなければ正しい状態にはなりません。

 ここで、沖ヨガが大切にする哲学性、宗教性という言葉が出てくるのです。

とはいうものの、まずは呼吸が調い脳波の乱れが調って初めて哲学性や宗教性というものの捉え方も可能になります。そしてそれらのすべてから自分の呼吸や広げ得る自分のイメージの邪魔がなくなって初めて広い世界に行くことができるのでしょう。まずは呼吸を変えるような体の使い方、声の出し方をめざしましょう。

 良い声になるための体操や呼吸法はみな、心身を調えるための体操であり呼吸法でなければなりません。クムバク体操やテンツク他で本来の体の使い方、喜びに満ちた体の使い方の基礎を身につけてください。



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