自分らしく生きる生き方そのものが人を健康にする

NVY-intro14

ナチュラル ヴォイス ヨガ入門 14

   2015年3月号 (No.186)

「ヨガをする」とはどういうことでしょうか?

アサナをしたり呼吸法をしたり、また、沖先生を始め多くの聖賢や大先輩の説かれたことを聞き、読み、教わり、そして考え、そこから色々なことを試し、実行をしていきます。さて、そこで得たいことは何なのでしょう。
 
それが「健康」や「強さ」であったり「生きがい」や「幸せ」であったり、自分や世界の「平和」であったりと人それぞれさまざまな願いがあります。

しかしヨガはその一人ひとりの個別の願いや目的の達成を相手にはせず、その元にある誰にも共通のよりよく生きる力をどのようにすれば見つけ高め、生かすことができるのかについて説いています。

そして、生を与えられていまここに存在しているという事実をありのままに捉え、体も心も魂も全て、丸ごとの自分を活かしきる工夫と努力をして生ききることを求めています。
 
「生ききる」だなんて、そんなにシャカリキにならないでも、適当に生きて適当に幸せであればいいじゃないかと考える人も多いことでしょう。

たしかに、この仮想平和ボケした日本の中ではそんな生き方もあたりまえに思えるかもしれませんが、その生き方こそが、「ヨガの喜び ― 真の喜び」を自分から奪い、そしてより一層苦しみに満ちた生き方へと導くことになるとは考えないのでしょうか。

自分の顔を鏡で見、他人の顔を見て納得できないだろうか。ヨガの説く「人間としての最高の喜び」とはどのような状態なのだろう。少なくとも自分について見たとき、そんな生き方をしていると思えるでしょうか。

今の世の、人の死にざまは生きざまの問題を語っていないだろうか。病気で死なず、大往生と言われる自然死を迎える人がどれだけいるだろう。医者を増やしても増やしても追いつかない現実は、謙虚とは言えない生活形態や生命に対する態度を問い、そして、与えられた生を無駄に垂れ流している生き方に対する警告であるとは思えないだろうか。
 
常に全力で一生懸命生きてはじめて、丁度よいバランスの生き方になる。

そうでないとき、私たちの生命は不完全燃焼という形で教えてくれる。生きがいの欠如、病気や悩みの苦しみ、不安や自信の欠如、などなど…

ちょこっと健康だけ欲しい、ちょこっと痛いところが治ればいい、ちょこっと幸福が欲しい。それでは不完全燃焼の解決からは程遠い。ちょこっとヨガも同じかもしれない。

それぞれの願いや憧れを通じて完全燃焼できるような生き方をする以外にない。しかし今巷にあふれるヨガは目先のノウハウを教えるだけのちょこっとヨガになってはいないだろうか。
 
ヨガをノウハウとしてしか使わないなら、それは、人生が変わると考えてサプリとダイエットにのめり込んでいくのと大差ない。

反対に、ヨガの根本的な生きることへの捉え方がノウハウを生み出す。

ヨガと名が付こうがどんなに偉い人が言おうが、人が作り出したノウハウはその人のものであって、自分にとって参考にはなるが自分のものにはなり得ない。

自らの願いや憧れを養い、ふくらませ、進化させて、その思いを自身に生かし実現する。そのための自分のやり方を見つけて実践実行するのがヨガであるということ。

心や体を喜ばせるために自分があるのではなく、自分を活かし喜ばせるための道具として心や体があるということを踏まえたうえで、体や呼吸、そして心の使い方を自らの目指すように制御し、調えて行く。

私もあなたも誰もが途上にある。しかし、この途すじを通るなら、その行動は全てヨガへの道でありヨガそのものと言える。

私は「ヨガをするということ」をこのように捉えていますが、ヨガがこのような立場にあるものとすれば、これは多くの人の求める道ではないのかもしれません。

ヨガの生命に対する捉え方は多くの人にとって、そのまま受け入れることは難しいようです。一般の健康観と対比するとよくわかります。

誰もが健康に生きることを求めますが、それを得るためにどのようにすればよいと考えるでしょうか。

間違った心の状態、体の使い方、そして食べ方や生活の仕方も、自然の理にかなわない間違いをすれば当然のこととして、それに見合った結果が出て、それに見合った病気になります。

それは症状と呼ばれる、間違いを是正して元の状態に帰ろうとする生命の要求の表れです。

このために苦しみを伴うこともありますが、この経過を通してのみ本当の意味で病気が治ったという状態になることができる。と、このようにヨガでは考えます。

しかし、世の中の大多数の人にとって健康というのは、痛くないことや苦しくない状態を指し、これらを回避することが、病気が治ることであり、健康になることだと誤解をしている。

そのため、サプリ、薬、手術、などを使い、その症状を招いた原因を正すという過程を省いて、手間と苦しみの伴わない方法で結果だけを変化させ楽になるということを目指すのですが、これでは、体が反応しなくてはならなかった原因がなくならないので根本的な解決にはなりません。

私がヨガを始めた50年近く前、ヨガの道場では特別なことをしないでも多くの人の病気が治っていき、私自身も今までやっていた多くの治療、投薬、小手術を全くやめましたが、とても短時間のうちに症状は改善され、健康な状態になり、今に至っています。

そして沖先生自身も、私を含む多くの沖ヨガの指導者たちもこのことを多くの人に伝えてきましたが、50年経って、多くのヨガはサプリと同じようなレベルのノウハウになってしまいました。沖ヨガの指導者にもサプリヨガになってしまった人が多くいるように思えます。

こうなっていく原因の一つは、ものやヨガを売りたい人たちの宣伝攻勢による、洗(染?)脳作用によるものでしょう。売る側はウソをまことしやかに並べ立て、買う側はといえば、欲目で見るから簡単にだまされる。

売る側は欲目に合わせて商品開発をし宣伝をするのですから、あたりまえのことが起こるべくして起こっているだけなのかもしれません。

しかしこのことが喜びを奪い、自分を蝕み、病に向かわせる。過程が間違っているので、うわべは変わっても体や心の状態は元のまま。これでは是正が行われないから異常が残り溜まっていく。なぜかこのようにして体も心も異常な人が増えていく。

これらの問題は、自分にとって都合の良い道を選ぼうとすることから始まります。小さな楽を拾おうとして大きな楽を捨てているのでしょう。

高い目標を持てばその高さに応じて、登る段の数も多くなることでしょうに、段を減らして高いところに行きたいというのは虫が良すぎるでしょう。

さて今月の実践は、普段の意識の持ち方、体の使い方で一番大切なことは何だろう。どこからアプローチをするのがいいのだろう、ということについて考えてみました。

そこで大事にしたい第1、それは重力にまけず伸びるということです。丹田力も統一体も、心の温かさや豊かさも、この働きをなくしては手に入れることはできません。

先月号までの復習になりますが、気持ちが明るく元気に頭頂が天に向かって伸び、それに対して重心が下がるように足腰に力がこもり、腹圧が高まり、心が安定するということです。この体の使い方を身につけるために実践してほしいのが「テンツクテンツク」です。阿波踊りのリズム感と体の伸ばし方がポイントです。

幼稚園でも学校でも、音楽に合わせて体をゆすると、拍の頭で膝を緩めるように体をゆする人がほとんど。この体の使い方は「失われたなんば歩きの体の使い方」と同じように、習慣づけられることにより、民族的に当たり前になってしまっている、伸びる方向性を失った体の使い方の一つと考えられます。

エイ・エイ・オーと、少々興奮気味になら伸びる方向性の使い方をする場面もありますが、歌う時や仲よしでいようという時には、大人になってもほとんどの人が、緩み縮む方向性の使い方をしています。

これを反対にして拍の頭で膝を伸ばし、同時に頭の上で軽くて大きな手まりをチョンと突くように手を上に伸ばします。

足は下に、手は上に、上下同時に伸びるようにリズムに合わせて体を使います。この体の使い方は多くの方にとって難しいようですが、阿波踊りと思ってやると簡単にできる方が多くおられます。

要は自分の意識の方向を緩む側にではなく伸びる側に向けていくのです。そして、その意識を、歩くときも立ち仕事をするときも、いつも重力に逆らい伸び伸びとした姿勢を維持できるようにしていくのです。

去年10月号の記事NVY入門No.9、今年の1・2月号のNo.12、No.13にもある「テンツク」ですが、わかりにくい人にとっては動きが逆になっても気付かないので、自習が難しいようです。これがやりにくいということが伸びるという感受性の少なさを物語っており、こここそを何とか変えていきたいところなのに、自分が反対の動きをしていて気づかなければ直して行きようがありません。慎重に動きをチェックして体に覚え込ませてください。

今から上にある軽い玉をチョンと打つぞ、と、少し膝を曲げ、軽く身構えた姿勢をとり、次に膝を伸ばしながら頭の上にある玉をチョンと手で突くのです。この瞬間、重力に逆らい体が上下に伸びています。肛門を締めながら上下に伸ばしますが、これをリズミカルにできるようになったら、歩きながらやってみます。歩きながらやれば、丹田に意識を置く感じがつかみやすいことでしょう。次に、座禅の姿勢でもこれが維持できるようにやってみます。足裏の代わりにお尻が活躍します。
 声を一緒に出したい場合は前回のように、短いスタッカートで、ホッホッホッとかハッハッハッという声を出します。

 前回と同じようですが、特に大切なところです、色々試してみてください。



  → 次へ

  → 戻る

  → 目次から選ぶ

  → 周平のヨガ記事に戻る

powered by Quick Homepage Maker 4.91
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional